Intra-muros’s diary

はじまりは饗宴から

2019-01-01から1年間の記事一覧

イタリア海外研修1212-1217_2019

初日からして想定外だった。フランクフルトに着いて、パスポートコントロールと税関手続きはドイツだからそれなりに時間がかかるとは見積もっていたつもりが、クリスマス時期なのだろうか、パスポートコントロールがなかなか進まない、イライラしてボローニ…

発表を終えて気づいたこと(11/30ヴィーコ発表後)

忘れぬ前に、発表後に「ああそうか」と気づいたことを列挙しておこう。 「7章 三種の法制度」のところで、il certoとil veroが出てきたところ。すなわち、Talché le giurisprudenze divina ed eroica si attennero al certo ne' tempi delle nazioni rozzeò …

Vico発表のまとめ-11月30日2019年に向けて-

最初に、一番最後の例の口絵を見ておこう。作者名は誰だったっけ。二枚あるのだが、一般的な図柄の方から。左上隅に三角形で囲まれた目があり、そこから光の筋が地球儀の上に乗った形而上学の女性像の胸元に当たり、光はそこで折れ曲がり左下の老人の背後へ…

Vicoの発表に向けて-『新しい学』の第四巻-

随分前にはたまたセンターから次の記事の追加を誘うメールが入った。今は職場も忙しいのだが、11月30日に予定されている「ヴィーコ読書会」における発表準備に追われている。明後日はバルセロナ行きを見守らねばならないし、会議も飲み会も多いし、ってなと…

はたまた一か月が経過、むこうからアナウンスがやってきた。9月10日から17日までのイタリアはボローニャ、ピサ、ペルージア訪問はいずれ記事と絵にするが、まずは写真を載せておこう。

再起をかけて9月13日2019年イタリアはピサにて―その三ー

二日空いてしまった。これはその二のつづきである。 明治の最初に、スピノザ流の、そしてルソーにも及ぶ「反面教師としてのマキァヴェッリ」理解が植え付けられたとすれば、それはやはり日本におけるマキァヴェッリ受容の特徴であろう。時代は下って、昭和の…

再起をかけて9月13日2019年イタリアはピサにて―その二ー

家事のため中断、そして今またつづきを始める。前の記事の最後が1998年『マキァヴェッリ全集第一巻』刊行だった。今も現役の『君主論』というと、池田訳に加えて佐々木訳、河島訳がある。それぞれの刊行年を今ネットで調べてみたが、佐々木訳が1994年、河島…

再起をかけて9月13日2019年イタリアはピサにて

前回から随分とまたしても時間が経過した。さて今回は、タイトルどおりに今年9月13日に予定されている私自身の研究発表について、その概要をここにまとめておこうと思う。 第23回の国際会議で、今年の春だったかその通知をネットで受け取ったものだから、何…

ああ気ぜわしや

先回からまた一月ばかりが経過した、これをどうして知るかと言えば、メールで「はてなブログ」事務局から「そろそろ書きませんか」という指摘を受けるからだ。そういえば先週受け取ったと今思い出して、こんな按配に。 9月はピサにて発表する機会を得た、こ…

うさぎとかめ

あれからはや一か月、いま「うさぎとかめ」の童謡の一節がメロディーとともに頭に流れているが、その「かめ」よりも歩みが遅くなったようだ。 目標である『君主論』の訳出だが、もっか第十九章の3番目の段落までが終わった。ということはあとこの章の残りと…

久しぶりの証し5.15.2019

はてなブログの管理者側からのメール通知で、先回から何も書かない状態がひと月以上も続いたことに気づく。人間これだから困る。つまりブログを始めた最初の熱意が無意識のうちに、雑事に取り紛れて低下してしまったらしい、加えてそれすら自覚が無かったな…

消えていないか確認のために

4.13.2019 随分とご無沙汰なので、消されていないか心配でここに繋ぎの意味で日誌風に綴ってみました。特記事項がないのでこれで止めて、また『君主論』の新たな訳出へと進もう、今第十二章の途中まできた。夏までには一通り完成させないと。私家版『マキァ…

J.G.A.ポーコックの『マキァヴェリアン・モーメント』その一

実に実に久しぶりだ、先回が3月9日とあるから、およそひと月近くが何も書かずに過ぎてしまったことになる。今回は、明後日のちょっとした発表もあって、ポーコックの研究書『マキァヴェリアン・モーメント』だ、副題にはフィレンツェの政治思想と大西洋圏の…

マキャベリの中のマキャベリズムその1

少し間が空いたが、『君主論』第三章の混成型の君主国の在り様とその獲得・維持について述べたくだりに戻ろう。そこで、これは世にいう<マキャベリズム>という箇所を見つけたので取り上げておこう。意外にも、マキャベリの行論にそういった権謀術数の、血…

一息、そして一言(ルイ十二世関連本入手)

先回の予告、ルイ十二世について『マキァヴェッリ事典』から拾うとの作業はもう少し先延ばしとしよう。インターネット経由で、"LOUIS XII"というペーパーバック本を見つけて入手したのでそれを記しておく。著者はFrederic J. Baumgartner、出版元はSt.Martin…

混成型君主国の代表例-フランスのルイ十二世

『君主論』第三章の続きである。混成型君主国としてミラノ公国を併合したフランス国の君主ルイ十二世がやり玉に挙がっている。 (4) Per queste ragioni Luigi XII re di Francia occupò subito Milano e subito lo perdé; e bastò a torgliene, la prima vol…

はたまた人称代名詞quelli

『君主論』に戻ろう。第三章の混成型の君主国について(De principatibus mixtis)に入る。 新しい君主国にも二様があった。まったく新しいのと世襲の国土に新領地を付け足して作る混成型の君主国、マキャベリはそう区分している。もっとも喋りたいのがまっ…

Excuse 言い訳その一

二日丸々書かずじまいで過ぎてしまった。昨日は京大にて「第六回ヴィーコ読書会」があったので、そちらに出かけて刺激をもらい帰宅。ヴィーコとは、イタリアは17世紀ナポリ生まれの哲学者で、当時ヨーロッパを席巻したデカルト哲学の理性万能に抗して、人文…

2月7日は「北方領土の日」だった

もう昨日になってしまうが、2月7日は「北方領土の日」の政府広報が目に留まった。簡略地図でいくと北海道の納沙布岬に近いのが歯舞群島、少し北東に離れて色丹島、戻って歯舞の上に国後島があって、同じく北東方面に択捉島がある。四島の名前と位置関係は絵…

日米地位協定、イタリアではドイツではいかに?

さて今日はマキャベリから少し離れて、昨日K書房のがんこ店主から授かった調べごとをメモしておこう。これは時間が経過しても忘れないようにするためである。 第二次世界大戦後、米軍が駐留する日本には日米地位協定がある。とくに沖縄で事件が起こるたびに…

マキャベリが繰り出す理由節Perchè(ペルケ)

今日は時間が無いので手短に。 『君主論』の第二章 De principatibus hereditariis(世襲の君主国について)の末尾を見てみよう。今後も夥しいほど出てくるマキャベリのperchè(ペルケ)で導かれる理由節だ、つまり「~、なぜなら・・・」という理由理屈を述…

マキャベリのあれかこれか―二分法ー

『君主論』第一章である。各章のタイトルはラテン語で書かれている。やはり見栄えの問題なのだろうか。 Quot sint genera principatuum et quibus modis acquirantur.(君主国にはどういった種類があるか、またどのように獲得されるものか) 最初からマキャ…

相手の立場からも見る2.2.2019

マキャベリの視点・̻視角のその二、風景画家になぞらえて。 (5) Né voglio sia imputata prosumptione se uno uomo di basso et infimo stato ardisce discorrere e regolare e governi de' principi; perché, così come coloro che disegnano e paesi si po…

現代の経験と古代についての不断の学習

引き続いて『君主論』献辞の第二パラグラフより。 (2) Desiderando io adunque offerirmi alla vostra Magnificenzia con qualche testimone della servitù mia verso di quella, non ho trovato, intra la mia suppellettile, cosa quale io abbia più cara…

人称代名詞は曲者

『君主論』の献辞は次の文章から始まる。 (1) Sogliono el più delle volte coloro che desiderano acquistar grazia appresso uno principe farsegli incontro con quelle cose che infra le loro abbino più care o delle quali vegghino lui più dilettar…

マキャベリの世界

老後の愉しみの一つとして、マキャベリの『君主論』から読んでみよう、そしてよく分らないところはそれとして書き出してみよう。 生きている限り毎日は暮れていく。大きく言えば歴史も進む。国内から国際問題までいろいろなトピックスを透かし見せてくれるだ…